とりえかんざし

いつもなにかにこころをよせて、恋していたい

字を安定してきれいに書くコツ。―お手本をマネしなくていい。正しく持たなくていい。

もうお手本はいらない。

お手本をマネしたところで、
気がつけば、いつもの自分の字に戻っている。


もううんざりである。
いや、そこまでショックもないか。
きれいに書けたところで誉めてくれるのは自分くらいしかいないのだ。モチベーションも上がりづらければ、達成意欲もあまりないのかもしれない。

硬筆や毛筆の授業をしているわけでもない。
正直いって、お手本のような字を書かなければならない場面は、この先ほぼないと思う。


しかあし!

だからといって、きれいな字を書けるのならばだれだって書きたいものである。
その方が気持ちいいだろう。
お気に入りのノートや手帳を使っているのならなおさらだ。

だから、お手本のような、ではなくて、「できるだけきれいな“自分の”字を書けるようにする」というのが今回のねらいになるだろう。


個人的には、丁寧できれいな字を書く人を見ると、「おっ!」となる。

線と線がゆっくりとつながる瞬間や、絶妙なバランスで次々と書かれてゆく字を見ているだけで、超癒される。胸がこそばゆくなる。もっと間近で眺めさせてくれ。きっとそこからマイナスイオンが発生しているに違いない。


わたしが思うに、本気を出せばきれいな字なんて誰でも書けるものだと思う。
ただし、時間が存分にあり、何度も書きなおしたり、下書きが許されるのならば、の話である。


書き直せばいつかきれいに書けるのにィ。

バカな話かもしれないが、わたしにとってきれいな字は、“たまに出現するもの”だったりする。
そう、確率的に。

自分で書いてるのに運まかせ。

指のコンディションと気温と疲労度合いや気分によって変わるのかもしれない。うわあ、めんどくさい。


そんな人が書き直さずに一発で書けるようになるコツを伝授したいと思う。


その方法とは、実に簡単で、


『ペンの先端部分を、自分の人差し指の爪の先だと思って動かす』


である。

重心をしっかりとペン先にシンクロさせることが肝要。
そのための、イメージが、人差し指の爪の先なのである。

剣術にして、刀を自分の身体の一部になるように稽古を積むように、
ペンの先を、自分の人差し指の延長のようになるよう、感覚的に研ぎ澄ます。
まるでグラウンドの土に、人差し指でラクガキするかのように。


今まで、字が安定しなかったのは、指先だけを動かしていたり、ペン先だけを動かしていたからだ。
まさに、小手先の技であり、
そんな状態でお手本を真似しても、ペンが指の動きについていけなかったり、指がペンのいいなりになっていたのは当然のことだと思う。
それでは安定せず身につかない。

まずは意識をつくることから。
中指や親指に余計な力を入れるべからず。大事なのは人差し指とその延長であるペンの先。


刀を身体の一部に。
ペン先を人差し指の爪の先に。
一心同体にするべし。
ペンの先端にまで自分の血と感覚と重さをめぐらせるべし。


すると、だんだん安定感を実感するようになるはずである。


また、持ち方を正しくする必要はない。

癖は個性だ。
長年つき添ってきた癖を、ダメだダメだと正そうとすれば、嫌な修行に成り果てる。

そのままで、あなたの持ち方で、あなたの字で、上手になればいい。


この方法は速効性のあるものだと思う。

イメージをして、ゆっくりとためしてみてね。


余談。
安定しない場所で字を書くときは、小指をギュッと握りこむように力を入れておくと、安定する。あわせて覚えておくと環境問わずいい字が書けるよ。

たとえいかなる足場でも、剣先が乱れるようなことはあってはならないのダ。