とりえかんざし

いつもなにかにこころをよせて、恋していたい

ちびちび読書法 ~小説

3冊の読みたい小説が手元にある。
序盤は既に読み、面白いであろうことは確認済みである。
と、そう思ってから二月(ふたつき)ほど経っている。3冊とも、読み終えていない。
その理由は、飽きたからではない。
読んでいないわけでもない。


***

わたしの読書はちょっと変。
後ろから読み始めたり、気になるフレーズが飛び込んでくるまで永遠とパラパラ、パラパラとページをめくり続けたりする。おっ、と思うページから読みはじめて、満足したら読み終わらなくても、本を閉じる。翌日もそのページばかりを読み更けて、本を閉じる。借りた本ならもう、返してしまう。

とにかく、最初から読むことはほとんどしない。そして、全部読むことをしないのだ。


だが小説のような形式はそうはいかない。

最初から読まないとわけがわからなくなる。そして、最後まで読ませる作りになっている。
困った。

ストーリーというものは、ライトユーザー(ライトリーダー?)や、途中参入者には厳しい。
最初から読み始める必要があり、もし面白ければ途中離脱はさせてくれない。

長時間の読書を得意としないわたしにとって、小説はどう読むべきか。
短時間読者が毎回、それでも読書の質を維持するにはどんな読み方が適切だろうか。


そう考えていながら、
一つ、自然に身に付いた読書法。

「ちびちび読み」。

まるで一人で静かに日本酒をちびちびと味わうかの如く、小説をちびちび読むのだ。

ちょっとだけ読む。ちょっとだけ読んだら続きはまた明日。
ただ、次を読ませようと魅力的に語ってくるのがストーリーというもの。子どもに遊びを区切りよくやめさせるのがいかに大変かを知っていればお分かりだろうが、そのくらい困難を極める。道の先は何もわからず、しかし好奇心を寄せる対象であるのは間違いないのだから、どこで区切るかはあらかじめ決められないし、やめられないとまらないのダ。


一つ、自然と身に付いた区切り方がある。

「いいなあ」と感じた言葉や仕草、描写が出てきたら区切りをつけ、本を閉じる。
そしてその「いいなあ」を、明日続きを読むまでに、自分の中に取り込む努力をする。
丸一日かけて、よく咀嚼して、ためしに真似して使ってみるなどして遊び、味わい尽くし、少しでも吸収する。


欲張って読み進めてしまえば、情報過多で「いいなあ」と感じたことを忘れてしまうリスクを背負うことになる。

大事に大事に吸収する目的があれば、過ぎた読書はしないのだ。


***

3冊の小説が手元にある。
ちびちび、ちびちびと飲み下す。
しばらくの間、楽しみは、尽きない。

寝る前の小さくて静かな高揚感。