とりえかんざし

いつもなにかにこころをよせて、恋していたい

クリームソーダじゃなくってエ

「やだあ、今夜は熱帯夜だって」

 

外はうっすらと明るく、オレンジ色が滲み出してきたようです。遠くで蝉(せみ)がわんさか鳴いていて、洗面台に反射しているみたい。

 
脱衣所から出ると縁側の方から吹いてくるぬるい風が、全身の湯気とシャンプーの香りを包み込みながら、もったりと、どこかへと連れていきました。
 
 
「どうりで」
 
冷蔵庫から取り出した麦茶をコップにそそぎながら、再び汗がでるのを、少し我慢してから、あきらめた。
 
慣れた手つきで次に冷凍庫を開けると、氷を4つとって、3つはコップに、残りは口に放り込んだ。ひい、つめはい。
 
 
 
「わはひ、ほんほうは、ほうひゃふろっひゅふろーろがほみはひほひょ?」
 
ぶっ。
 
「あはは、あんた、何いってるのかわかんないし」
 
そりゃそうだ、言っているわたしも訳が分からない。氷をバリンボリンと犬のように噛み砕いて飲み込んだら、頭がキーンとした。 
 
 
「わたひ、んぐ、、、本当は、「紅茶スカッシュフロート」が飲みたいのよう」
 
突然の謎の欲望の主張。どうしてこんな単語がスッと出てくるのか。こういうところ、よくわからなくって、自分で自分にびっくりする。
 
 
「…はあ、なにそれ、ライスカレー並みにハイカラね。」
 
そしてこの人の言ってることも、よくわからなかった。
 
 
お互いによくわからなかったから、
何事もなかったかのように、
テレビを見ました。